師匠シリーズ

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【師匠シリーズ】エレベーター

大学1回生の秋だった。 午後の気だるい講義が終わって、ざわつく音のなかノートを鞄に収めていると、同級生である友人が声を掛けてきた。 「なあ、お前って、なんか怪談とか得意だったよな」 いきなりだったので驚いたが、条件反射的に...
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【師匠シリーズ】貯水池

大学1回生の秋だった。 その頃の僕は以前から自分にあった霊感が、じわじわと染み出すようにその領域を広げていく感覚を半ば畏れ、また半ばでは身の震えるような妖しい快感を覚えていた。 霊感はより強いそれに触れることで、まるで共鳴しあう...
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【師匠シリーズ】追跡(後編)

追跡(前編)へ 本当に心の準備が要った。 そして俺は、天を仰いだ。 行けと? ラブホテルへ? 彼女をつれて? 迷いというより、腹立たしさだった。 そんな俺の混乱を知ってか知らずか、彼女は「次はどこ?...
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【師匠シリーズ】追跡(前編)

大学1回生の冬。 朝っぱらからサークルの部室でコタツに入ったまま動けなくなり、俺は早々に今日の講義のサボタージュを決め込んでいた。 何人かが入れ替わり立ち代りコンビニのビニール袋を手に現れてはコタツで暖まったあとに去って行った。...
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【師匠シリーズ】雨音

大学2回生の秋の終わりだった。 その日は朝から雨が降り続いていて、濡れたアスファルトの表面はもやのように煙っている。 こんな日には憂鬱になる。 気分が沈滞し、思考は深く沈んでいる。 右手には川があり、白いガードレールの向こう...
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【師匠シリーズ】自動ドア

先日、ある店に入ろうとしたときに自動ドアが開かないということがあった。 さっき出たばかりのドアなのに、戻ろうとすると反応がない。 苦笑して別のドアから回り込んで入った。 こういうときはえてして別の目撃者がいない。 ある種、個人的...
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【師匠シリーズ】鋏(ハサミ)

大学3回生の頃。 俺はダメ学生街道をひたすら突き進んでいた。 2回生からすでに大学の講義に出なくなりつつあったのだが、3年目に入り、まったく大学に足を踏み入れなくなった。 なにせその春、同じバイトをしていた角南さんという同級生にバ...
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【師匠シリーズ】ともだち

大学2回の冬。 昼下がりに自転車をこいで幼稚園の前を通りがかった時、見覚えのある後ろ姿が目に入った。 白のペンキで塗られた背の低い壁のそばに立って、向こう側をじっと見ている。 住んでいるアパートの近くだったので、まさかとは思ったが...
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【師匠シリーズ】雨上がり

昨日から降っていた雨が朝がたに止み、道沿いにはキラキラと輝く水溜りがいくつもできていた。 大学2回生の春。 梅雨にはまだ少し早い。 大気の層を透過して、やわらかく降り注ぐ光。 軽い足どりで歩道を行く。 陽だまりの中にたたずむよ...
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【師匠シリーズ】跳ぶ

俺は子供の頃から割と霊感が強い方で、いろいろと変な物を見ることが多かった。 大学に入り、俺以上に霊感の強い人に出会って、あれこれくっついて回っているうちに、以前にも増して不思議な体験をするようになった。 霊感というものは、より強いそ...
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