目の端に映る

洒落怖・怪談
さっきまでバイト行ってたのよ。
ファミレスの皿洗いなんだけど。
なんか今日のバイト中、ずっと変な感じがしてたのね。

なんかこう、いつもみたいに茶碗はまとまらねぇし、コップは入れ物ごと落とすし、食器洗い機の火はすぐ消えるし、皿重ねてたらいきなり割れるし。

調子悪いなーとか思いながら仕事してたんだけどさ、気づいたのよ。

なんか俺が振り向いたり、横向いたり、
とにかく視線を動かすたびに、
目の端に靴が映るのよ。

子供のっぽい。ちっちゃい。

意識しだしてからはホントに振り向くたびにそこに『居る』のよ、
間違いなく。
気づいちゃったらもう大変よ。
なんか時々、袖を軽く引っ張られるような気さえしてきちゃってさ。
「気のせいであってくれよー」なんて思いながらさ、
意識してそっちの方を靴の上まで見えるように横目になりながら仕事続けたのね。
そしたら振り向いた時に見えたのよ。
一瞬。足から股下くらいまで。
全身は見えなかったし、
一瞬だったからはっきり見えたわけじゃないけど。
その足はパッって振り向いて逃げていったように見えたのね。
それからは仕事がはかどってさぁ。
もしかして、
さっきのはなんかのお化けで、
それが俺の仕事ジャマしてたのかも。
なんて思ってみたりして、
まさかありえないとは思ったんだけどさ。
その後、今度はキッチンの人が色々ミスしてるのよ。
指切ったーとかフライパンひっくり返したーとかね。
その人の顔見たらさ、なんか横目でチラチラ見てるのよ、横を。
あー、こりゃ大当たりだーって思ったね、
その瞬間。
怖くて怖くて、
もうそれからは夢中で仕事終わらせてさ。
その間も今日は、
ウェイトレスさんがビールのジョッキ客席に落としたり、
副店長がパフェにケチャップかけたり、いつもならやらないようなミス連発よ。
そして皆なんとなく横目でチラチラしてるのよ。
俺、ガクブル。
最初にミスしだしたの俺だからさ、
俺にくっついてたのかーって思ったね。
なんとか仕事終わらせて、
今は帰ってきて、
こうやってパソコンに向かってんだけどさ。
アレ、まだ店にいるのかなぁ。
明日もバイトなんだよ。
もう今日眠れねぇよ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました