婆ちゃんの家には、除霊に使うための道具が色々ある。
もちろんそれは普段倉庫に入れてしまっている。
婆ちゃんの留守中に、よりにもよってそこに泥棒が入った。
道具は全て木箱に入れて、お札で封をしてある。
自分も見たことがあるが、非常に不気味。
びっくりした泥棒は、そこから飛び出そうとしたが、
入ってきた窓の下からはがさごそと人の気配。
隠れようと思って近くにあった空の箱の中に入ったそうで。
すると奥から足音を立てて誰かが入ってきたんだと。
「誰かいるのかい」
そう低い声で聞こえたそう。
やがて封を破る音と、箱の蓋を開ける音がして
「ここにはいな~い」
「ここにもいな~い」
と中を確認していく声が聞こえていた。
泥棒はやがて、それがだんだんこっちに近づいていることに気づいた。
やがて自分が入っている箱の蓋に手をかけられたので、開いた瞬間に泥棒は頭突きを喰らわせた。
しかし、頭突きは空振りに終わった。
なぜなら、蓋を開けたのは首なしの鎧姿の男だったからだそうで。
泥棒は仰天してもうひとの気配など気にせずに窓から飛び出した。
窓の外には誰もいなかった。
泥棒はもう無我夢中で逃げ出そうとしたが、よりにもよってそこに爺ちゃんが返ってきていた。
あの婆ちゃんと夫婦喧嘩ができるほどの実力者である。
その横をすり抜けた泥棒だったが、たちまち追いつかれてとび蹴りから組み伏せられて顔面に鉄拳。
被害はなかったので警察には云わず、厳重注意で終わらせることにした。
婆ちゃんいわく、
「泥棒がへぇったら逃すでねぇぞっていっといたんだがなぁ」
とのこと。
コメント