夕日が沈む前に

洒落怖・怪談
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これは今から五年位前に実際に体験した話です。

当時、私は会社員で、妹は高校生でした。

その日、私は仕事から定時で帰宅し、リビングに入ってすぐソファーに寝転がって漫画を読みはじめました。

まだ夕方で、夕日が沈む前だったので
電気はつけなくても充分明るかったのを覚えています。

しばらく漫画を読んでいたら、
何やら二階から

「キャハハ」

と笑い声が聞こえてきました。

何人かの話し声がします。

あぁ、また妹が友達連れて二階で遊んでるのか。

と思って、気にせず漫画に集中しようとしてたんだけど、だんだん二階で話しが盛り上がってきたようで、笑い声がどんどん大きくなってきました。

あ~うるさいなぁ。

と思いながら気にしないように我慢していたんだけど、やがて笑い声が

「キャハハハハ」

から、

「ギャハハハハ!!!!」

になり、
床をダンダン叩き出しました。

しまいには笑い声が叫び声になってきて、

「ギャヤァアアアアアアアヴヴヴヴヴヴひひひひゥボォォオオオオオ!!」

とか言いながら、リビングの天井の電気が揺れる位
ダン!ダン!ダン!ダン!って蹴りまくってる。

獣の断末魔みたいな。

マキシマムザホルモンのデスボイスみたいな声がずっと響いてる。

これには私もムカついて、

「はぁ?ありえない!うるさすぎて近所迷惑になるだろ」

と、さすがにキレて二階に文句言いに行くことにしました。

リビングから出て廊下を歩き、階段を登ろうとした時に、ふと、おかしいことに気がつきました。

廊下の横に玄関があるのですが、
…あれ…?私の靴があるだけで…
友達の靴どころか……妹の靴もない。

え?靴がない?

じゃあ、今、この家に居るのは私だけ…!?

えっ?じゃあ…さっきの笑い声は…?

と、そこまで気づいた時に、顔をあげてしまったまま金縛りになってしまいました。

さっきまでの笑い声が消えて、家の中は静まりかえっています。

目の前には真っ暗な階段。

シーンとした二階は、暗くて何も見えない。

一気に恐怖が襲ってきて、怖くて早く逃げ出したいのに金縛りで動けずにいたら、二階の奥(妹の部屋の方)から、
…ギギ…キィィィッ…と扉を開ける微かな音がしました。

私はもう恐怖で体中から変な汗かいて、顎がガクガクしてた。

少ししてから、
…みしっ。………みしっ。
と、誰かが床を踏みしめながら歩いてきている音がしてきました。

階段のほうに、誰かくる…!

と思ったとき、がくんと力が抜け、パッと体が自由になり、一目散に階段を離れてリビングに駆け込みました。

リビングに入ったら、すでに部屋が真っ暗になっていたのでびっくりした。

いつの間にか日が沈んでいたのです。

慌ててリビングの電気をつけて、テレビを大音量でかけて、ソファーで丸まってぶるぶる震えながら、母の帰りを待ちました。

あの時、玄関の靴に気づかなかったら、一体二階で何を見てしまったのだろう…?

二階にいったい何が居たのだろう…?

(因みに、妹が帰宅してからこの話をしたら、妹に何故かキレられ、妹は二度と二階の部屋を使わなくなってしまいました)

妹の部屋はその後も色々怖い事があったので、
機会があればまた投稿したいと思います。

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